トリココーヒーをつくるひとたち③

トリココーヒーは、福祉施設でひと手間加えて完成します。ある人にとっては大変な作業でも、別の人に とっての「楽しみ」になることがある。わたしたちは障がい=個性として捉え、それぞれの得意を発揮す ることでお互いに助け合える関係づくりを目指しています。

あるとき、焙煎工場の近くにある障がい者施設から「コーヒーで何かお仕事をいただけませんか?」と相談がありました。何気なく時間と手間のかかるハンドピックというコーヒー豆の選別作業を依頼したところ、驚くほど丁寧に仕上げてくれたのです。選別には大変な集中力が必要ですが、担当してくれた方は「ひとつのことに熱中する」という個性を持っていました。会社の負担を減らし、さらに施設にとってはコーヒーが売れるほどに継続的な仕事になる。まさにお互いの得意を生かしたパートナーシップの発見でした。

大量のコーヒー豆の中から虫食い豆や割れた豆などを一粒ずつ取りのぞく

主に依頼しているのは、コーヒー豆のハンドピック作業です。生豆の時点でもハンドピックはおこなわれますが、施設に依頼するのは焙煎後。つぶれた豆や虫食い豆は雑味の原因になるため、それらを取り除くことでより透明感のある味に仕上げることができるのです。時間と手間のかかる作業であるため、施設に依頼することで会社にとっては大きな負担軽減となっています。また、取り除かれた豆は施設で再利用していただき消臭グッズなどに生まれ変わっています。

依頼の際にわたしたちが工夫していることは、納期を設定しないこと。それぞれのペースで進められるように、さらには鮮度へのこだわりを守るために、複数の施設に仕事を分散させています。現在は1kgあたりの作業に対価をお支払いしています。その他、必要に応じてパッケージイラスト制作の依頼をすることもあります。

線の描き方や色使いの表現が豊かで、力強く独特な魅力がある

透明感のある味わいにするために、ハンドピック作業は欠かせない

現在はハンドピック作業だけでなく、卸先へのコーヒー豆の配達業務も「施設外就労」として依頼しています。配達を担っていただくことで会社にとってはスタッフの働く環境を整える助けになっていますが、同時に福祉施設の利用者さんが実社会を体感する機会にもなっています。

配達、納品、集金をすることで自分が関わったコーヒーがどのようなお店で提供されているのかを知ることができ、仕事の流れをより実感することができます。施設によっては工場での焙煎見学もおこなっています。今後は商品のパッキングや発送作業も段階的に依頼させていただき、お互いに協力しあえる関係をつくっていきたいと考えています。

パートナーとして仕事を依頼する福祉施設も少しずつ増えている

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